ルーズ・ソックス/1997年

  • 監督:今関あきよし
  • 出演者:大河内奈々子、宮澤寿梨、木村沙也果、片桐由葵、ほか
  • 上映時間:75 形式:
  • 製作:キングレコード、パル企画
  • 配給:パル企画

イントロダクション

走っている時だけは、孤独を紛らわせる…
今を生きる等身大の女子校生の、愉快で悲しい青春ストーリー!
どうしようもない孤独と、いたたまれない苛立ちの中で、自分が何をしていいのかわからない。人生の中にはそんな季節がある。そしてそれは、まだ心がピュアで、脆い時期にやってくる。それを大人は思春期と呼び、いかにも特殊な時間のように言うけれど、でも、その真っただ中にいる人間には、もっと深刻なそれでいて、自分でも笑っちゃうほど滑稽なだけど泣きたくなる程悲しい季節―――。

物語は、そんな思春期の女子高生PiNKの葛藤を、万引きというある種のゲームに託して、同級生で遊び友達の、ピース、スケちゃん、カクちゃんを巻き込みながら、ひたすら走るというスタイルでコミカルに描かれていく。ムカつくコンビニの店員への憂さ晴らし程度のはずだった初めての万引き。
でも、その日の朝、たった一人の味方だったおばあちゃんを亡くしたPiNKには計画とは違う出来事になってしまった。抑え切れなくなった今までの孤独感が一気にはじけ、PiNKを暴走させる。
主人公・PiNKを演じるのは、映画『岸和田少年愚連隊』で主演デビューを果たした大河内奈々子。最近では大好評のうちに終了したドラマ『牡丹と薔薇』の主演など、数々のテレビドラマやバラエティーでめきめき力をつけ、満を持してのスクリーン第2弾だ。さらにPiNKと行動を共にする同級生に、人気急上昇中の宮澤寿梨、木村沙也果、片桐由葵を揃え、フレッシュな演技で愉快で孤独な青春映画を創り上げてゆく。
高校生嫌いのコンビニ店員・水ぼうそう、誕生日好きのスケちゃんの姉、ピースの彼・ノビタなど、脇にも個性的なキャラクターを揃え、スクリーンを賑やかに彩る。
等身大の女子高生の行き場のない、怒り、苛立ち、悩み、孤独感、無気力でもなく過激でもなく、ただ走るという単純で滑稽な行動で、コミカルかつシュールに描く、新しいタイプの青春映画だ。

ものすごいスピードで突っ走ってくる女子高生4人。
ニックネームは、PiNK、ピース、スケちゃん、カクちゃん。彼女たちはついさっき、近所のコンビニで万引きをしてきたばかりだ。
逃げるということは、もちろん、万引き失敗!思いッきり店員に見つかり、追いかけられている最中なのだ。
ピースの立てた万引きの計画は万全だった。しかし、少しでも失敗の要素が見えたら無謀な行動はとらない約束でもあった。つまり、失敗しそうな雰囲気なら中止のサインを出すことになっていたのだ。
そして、その時、確かに中止のサインは出ていた。しかしただ一人、それを無視したものがいた。PiNKだ。
PiNKにもワケがあった。その日の朝、たった一人の味方だったおばあちゃんが死んだのだ。いつもと変わらぬ朝のはずだった。いつもと変わらぬ笑顔があるはずだった。もし、いつもと同じ朝だったら、PiNKも過激な行動はとらなかっただろう。でも、その日のPiNKの心は、行き場のない孤独感で張り詰めた糸が切れたような、投げ遣りな意識に支配されていたのだ。
時すでに遅し。ピースの中止サインを無視し、10個入りのガムパックを手にしたPiNKは、ダッシュで店を飛び出していく。あまりのおおっぴらな万引きに愕然としながらも、ともかく穂かの3人も後へ続く――。
怒り狂って追いかけてくる、高校生嫌いのコンビニ店員・水ぼうそう。
…走る、走る、走る、走る。4人の女子高生と水ぼうそうのバトルが展開される
。追いかけながら、逃げながら、友情、ケンカ、優しさ、裏切り、温かさ、さまざまな出来事が4人の周りを通り過ぎる。
走り疲れ、体力的にも限界なのに、まるで走ることだけが自分を確認する手段であるかのように走り続けるPiNK。
それを見守るように後に続くピース、スケちゃん、カクちゃんの3人。そして彼女たちが最後にたどり着いた場所でPiNKが10年前のほとばしる想いをしゃべりはじめた――。

MOVIE_1990

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