【イントロダクション】
「アイコ十六歳」(‘83)「グリーン・レクイエム」(‘85)に続く今関あきよし監督の最新作が、この「りぼん・RE‐BORN」です。
映画化にあたっては監督自ら原案し、明るい生活感あふれる“少女”の映像美を極めた、いわば今関映画の決定版とも呼べる傑作です。

信州は長野のとある田舎。中学生の梅代は学校でも評判の一風変わった女の子。なぜかと言えば、近くの沼に住む“河童”と昔遊んだなどと公言し、その存在をひたすら信じ込んでいる女の子だからです。そんな梅代にある弱みを握られて、河童探しを手伝わされるはめになった同級生のさやか。
映画では、二人の河童探しを通し、子供から大人への狭間で揺れ動く少女の心象風景の中に、現代では失われかけてしまった他人への思いやり、優しさ、純真さがさやわかに描かれてゆきます。
音楽は、「226」(松竹富士、五社英雄監督、‘89年新春公開)の音楽監督も担当し、今話題の新進気鋭、千住明。
主演の「さやか」「梅代」には一般オーディションにより、伊藤真美、今泉佐和子と、まったくの新人が起用され、伊藤克信、角田英介ら芸達者な俳優が、脇を固めています。
ちなみに、題名の「りぼん・RE‐BORN」とは、生まれ変わり、再生を意味します。

信州のある小さな村に河童沼と呼ばれる沼があった。
村に住む中学生、木下さやかの目下の悩みはこの河童沼。というのも、同級生の酒井梅代がその沼に河童がいると言い出して、珍妙な河童探しを始めてしまったからだ。梅代は河童からもらったという大きなりぼんをしている河童マニアだった。
梅代のやることといえば、河童を呼び出すための踊りを踊ったり、バケツで沼の水をくみ出そうとしたりと、およそ非現実的なことばかり。その度にさやかは手伝わされ、ついには大好きなサッカー部員の野中慎一の前で、恥をかかされてしまう。
しかし、さやかにも人に言えない弱みがあった。さやかは一年前まで担任の中野健太郎とつきあっており、その現場を梅代に見られていたのだった。
その弱みを武器に梅代の要求はエスカレートしていく。
だが、いつまでたっても現われない河童に梅代の気持ちは次第に追いつめられていく。そんな梅代をみかねてさやかは、同級生のSFマニア今野裕と共にニセモノの河童を沼に出現させ、梅代を安心させる。しかし、河童を見つけたと言って予想以上にはしゃぐ梅代にさやかの罪悪感はつのり、とうとう真相を梅代に告白してしまう。梅代との仲が決裂してしまったとき、さやかは夕暮の図書室で河童の足跡を見付ける…。
梅代と仲直りをしたさやかは梅代と共に河童沼で張り込み始める。しかし、どんな方法を使っても河童は二人の前に現われなかった。
そして、梅代は「河童をさがしに行く!」と言って、さやかの制止を振り切り、ひとり沼の中へ潜っていってしまう。
そして梅代はそれっきり二度と戻っては来なかった。
一年後、さやかは東京の高校へ進学した。さやかは夏の暑さの中で梅代のことを思い出す。
「もう一度、梅代に会いたい。あの頃がなつかしい。なんでだろう……。なんだか遠い昔の出来事を思い出すようになつかしい」
同じ頃、裕は河童沼にいた。梅代の唯一の形見であるりぼんを沼に返すためだ。
りぼんを沼に投げ、立ち去ろうとする裕。すると……。