【イントロダクション】
俳優・小説家と多才な坂上忍の初監督作品。
3歳で劇団「若草」に入団し、ドラマ「たんぽぽ」「かたぐるま」シリーズで名子役として活躍。‘83年「ションベンライダー」でスクリーンデビューして以来、「魔の刻」「極道の妻たち」「江戸城大乱」など数多くの映画やドラマに出演し、着実に俳優としてのキャリアを積み上げてきた坂上忍。
そんな坂上が自ら書いた「男が優しく眠る時」(文藝書房刊)を原作に、『監督をするつもりはなかったけど、練っていくうちに他人には撮らせたくない、自分の作品の責任を取らないといけない。』と思うようになり、監督デビューを果たすことになった。
坂上自身を描いたという主人公の橋本猛役には、メジャーデビューからわずか半年で日本武道館を満杯にした、ビジュアル系ロックバンド・ペニシリンのボーカリストHAKUEIが俳優に初挑戦する。本人のやる気も十分で何度もリハーサルを重ね、撮影に備えた。
主人公の猛が、自由奔放な姿に心魅かれるヒロイン・冴役に小島聖。その他、阿部寛、佐藤浩市、宅麻伸ら実力派陣が揃う。音楽は、ソロで活躍する、HAKUEIの作曲・編曲者中島英也が担当する。

眠れない…。いや、いつ眠ったのかわからない…。
橋本猛(HAKUEI)は30歳を目前に、不眠症に悩まされていた。
いつも同じ夢を見る。仕事もプライベートも順調に思える猛だったが、彼自身、今の生活にある息苦しさと行き詰まりを感じていた。
そんな時、同期で親友の佐伯の言葉で、猛は生き方を少し変えて見ようと思う。しかし、その翌日、佐伯は突然自殺をする。
一層、混乱する猛。そんな彼の前に突然現われた少女・冴(小島聖)。
そして、彼女が兄と呼ぶ方朔(阿部寛)。自然体で不思議な魅力を持った2人に触れ、猛は少しずつ自分を取り戻してゆく。
そんなある日、栄転の内定を受けた猛は考えた末、転勤を拒否する。
「頑張り方、変えようと思って…」少しだけ自分の変化に気付き始めた猛。
自分なりに歩き始めようとした猛に、方朔が旅立ったという報せが入る。
冴も「道なりに歩いていく」と言い残し、旅立っていった。
追うことも、歩き出すこともできない猛。大きく深呼吸をしてみる。
自分のリズムを自身の体で感じた猛は初めて自分の意思で歩き出すのだった…。